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失われた債務整理を求めて

債務整理とは何か?

13年目の夫婦2【お互い様】

次の日探偵さんは盗聴器の取り付けに来てくれました。
家の中をぐるっと見まわし、「どこら辺に付けましょうか」と検討していらしたのですが、「あれ、ちょっと奥さん、来て下さい。」そう呼ばれそちらに行くとコンセントの差し込み口が開かれ、そこに見慣れない小さな機械が付いていて、赤いLED がピコピコと灯っていました。
「これ、奥さん、盗聴器ですよ。。。」

私はビックリして「誰が!」と叫んでしまいました。
「これ、ご主人がお付けになった可能性があります。
素行調査の前にこの件を、ご主人にお聞きになったほうがいいのではないですか?
今の時点で当事務所の奥さんへの請求はこの出張費だけですですから。。。」
どうもそうしたほうが良さそうです。
私は「またご連絡します」と探偵さんを見送って、ダンナの帰りを待ちました。

「これどういうこと!!!説明して!」
会社から帰ったダンナに、テーブルの上に置いた盗聴器を見せ問い詰めました。
どうやって話そうかと作戦を立てていたはずなのに、そういう時はやっぱり感情的になるものですね。
子供は塾で帰りが遅い日でしたから、夫婦二人だけです。
ダンナの顔色がサーっと青くなりました。

 

 


「すまない。。。」ダンナは項垂れて話し始めました。
私がパートに出るようになり、今度は日曜日に実家に行くと家を空ける、これが心配だったのだそうです。
「パートに出てから急にまた綺麗になったし、イキイキしているし。。。」
大学時代の友人に探偵になった人がいるようで、その人に相談してその盗聴器を貰い取り付けて頂いたのだそうです。
「調査してもらう金はないし付いて歩く時間もないし、オレがいない間に電話かなんかしてるならそれを聞きたいと思ったんだ。」
「それで日曜日わざわざ長めに出かけたりしてたの?」「そう。。。」

なんてこの男はバカなのだろう、私を疑うなんて!
そう思いながらもダンナが可愛く見えました。
「ほんとにオマエは綺麗になったんだよ。。。不倫していると思ってたんだ。。。」
そう悄気返るダンナに「私もアナタが不倫してると思ってたのよ。」と白状しました。
「オレが?」ダンナが目を丸くするのが可笑しくてうふふと思わず笑うと、ダンナも笑いました。
「ふたりとも不倫を疑ってたなんてね。。。。」そう言うと「オレが疲れて大して相手もしていなかったから、それも申し訳なくてね。。。」とダンナが答えました。

結婚して13年、まだダンナが私を愛してくれているのだなと思うと、暖かいものが心に広がっていきました。
不倫は勘違いでしたが、私が探偵事務所に行ったことは決して間違ってはいなかったと思います。
疑いは勿論晴れましたし、お互いの気持も再確認できました。
もしも盗聴器が見つからなかったにしても、調査をしてもらえば疑いは晴れていたでしょう。

次の休みに菓子折りを持って二人揃って探偵事務所へ、お騒がせしたことの謝りをしにいきました。
探偵さんは「ちょっとしたスパイスでしたね」そう微笑んでくださいました。

その帰り道、久しぶりに手をつないで映画を見に行き、少し遅めのランチをとりました。
「このぐらいの贅沢、時々しようね。」
二人で公園を歩きながら家路につきました。